あうんの呼吸が通用しない世界での挑戦。与えられた環境で、プロの仕事を突き詰める

現在担当している仕事

車のナンバープレートや交通標識に用いられる“再帰反射シート”を主に製造している中国の製造拠点「恩希愛(杭州)薄膜」に2010年から出向し、開発業務に携わっています。反射シートは世界中で使用されているため、日本で考えられないような過酷な気象条件にも耐えられなければいけません。そこでさまざまなトラブルを設計・開発段階で想定し、どんな環境で用いても問題を起こさないような製品の開発を行っています。日本にいた時は研究所でのラボスケールの仕事が中心でしたが、中国の現地製造工場での開発業務は、開発品の実機投入や製造トラブルの改善にスピーディーに取り組んだりと、製造の最前線で大きな裁量権を持って仕事ができるため、面白味を感じています。もっとも、実機試作もトラブルの改善も、すんなり作業が進むことは少ないので、トライ&エラーを繰り返しながら改善を試みています。

仕事で何かを発見した瞬間

大勢の中国人スタッフと働いていると、斬新な発想力に驚かされることがあります。中には芽が出ないアイデアもありますが、確実に研究意欲の向上につながっているため、今後も彼らの意見を尊重したいと考えています。また、自己主張が強く、お互いの意見をぶつけ合う中国文化を考慮した上で、仕事をお願いしなければならない難しさもあります。赴任当初、日本で行っていた強度測定方法をそのまま中国でもやりたかったのですが、なかなか理解されませんでした。そこで作業内容を細かく精査した結果、別の方法でも十分な測定結果を得られることがわかり、中国人スタッフの意見を取り入れた経験があります。また、日本人同士の感覚で中国人スタッフと接していると、独自の解釈で作業を進めてしまうことがあるため、作業方法や規則などを、時間をかけて説明してから作業を任せるようにしています。その結果、業務が円滑に進むようになり、開発内容も徐々にレベルアップしています。

これまでで一番印象に残っている仕事

反射シートはさまざまなエリアで利用されます。車のナンバープレートを一つ挙げても、車が走る場所は暑いエリア・寒いエリアなどさまざまです。どんな環境でも耐えられるよう、さまざまな工夫を加え製品を作っていますが、ある時「マイナス30度」のエリアで使った時、うまく反射シートを貼れないというユーザーからの声がありました。さまざまな使用条件は想定していたものの、正直その気温までは考慮していませんでした。そこでユーザーからの声に対応するため新たな製品作りに取りかかると、中国現地ではユーザーの期待を満たす程の性能評価試験ができないということがわかりました。そのため、性能評価試験は日本にお願いし、試作は中国現地オフィスのメンバーで行うという橋渡しのプロジェクトとして動きました。そして最終的に、超極寒地でも対応できる商品を作成し、お客様へ納品することができました。以来、ユーザーの希望を満たすにはどんな方法を使ってでも実現に向け動く大事さを学んだことと、反射シートがどういったエリアで使われるかの可能性の最大を考えた製品づくりを心がけています。

今後の目標

反射シート事業を、今以上に当社のビジネスに貢献できる部門にすることが、今後の目標です。そのためにも、画期的な新製品や製法の開発に取り組みたいと考えています。既に形になりつつある研究もあり、そこからどうやって新製法に導くかという試行錯誤を繰り返している真っ最中です。また今後、中国の拠点が、製造だけではなく開発部門も担うことになれば、反射シート事業の一大拠点となる可能性があります。当社が海外への事業展開を積極的に行う中で、重要な拠点となる場所で働けることに大きなやりがいを感じるとともに、現在の経験を活かせる業務に引き続き携わっていきたいと考えています。

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